Monday, July 23, 2012

時は流れて/ツイートとtweet

「書く」ことやうやう億劫になりていとひさし。
古文もしばらくやらなかったらすっかり忘れてしまいました。昔は好きだったのに。
(国語教師でないので誤りは勘弁してください)


最後にこのブログを更新してからかなりの時間が経ってしまいました。
子どもたちの運動会が終わったあとは受験生の家庭教師と自分の修士論文で手一杯になり、その他数多持っているブログもどんどんと更新回数が減り、今に至ります。


ちなみに修士論文は途中何度も投げ出しそうになりましたが、英文95ページ、付録も含めると108ページの大作となり、無事完成・提出することができました。
3月にはコミュニケーション学の修士号を修得。無事卒業いたしました。


また、修士論文への先駆けとなったレポートが審査を通り、マレーシアで行われた学会で発表することができたのもとてもいい思い出になりました。そしてオマケで論文出版デビューもしてしまいました(!)。
https://sites.google.com/a/kliuc.edu.my/lancomm2011/
E-proceedingsという形ではありますが、アジア圏の多くの研究者たちが名を連ねる中に私の論文も入っているのだと思うと、素直に嬉しいです。それもこれも全て指導教授のおかげなのですが……。彼には感謝してもしきれない。


残念だったのは、修士論文で満足してしまって方言の研究を続けなかったことですね。
故郷を離れて久しく、また地元でも普段はほぼ標準語に近いことばを話していたため、私の中の語感も狂ってしまいました。群馬県の方言も入りたい放題入ってくるし、言語形成地としての長野県の方言をやるのはもう限界なのかもしれません。まあ、そんなこと云々の前に今となってはもう時間がないのですが…。
もう少し今の仕事に慣れたら、修士論文のほうの延長線で研究を再開しようと思案中です。最近になって関連する面白い資料を見つけて、また研究心が宿ってきたように感じます。その研究心が、忙しさに負けてしまわなければいいのですが。





さて、社会人となった今でもやはり「言語」へのアンテナは張り巡らさせたまま。
今回はちょっと不思議だなーと思ったことを書きます。
現在では当たり前のように多くの人に使用されているTwitter。私も数年前から利用を始めました。Twitterでつぶやいたそのつぶやきのことをtweetと呼びますが、最近あれっ?と思ったのはその日本語バージョン。
私がよく見かけるのは「ツイート」なのですが、最近「ツィート」という別表記も見るようになりました。正確には、「ツィート」という別表記に目が行くようになったのがつい最近なんだと思います。
この別表記「ツィート」なんですが、英語であるtweetの発音と比べるととても変だなあと感じます。以下はなんで変だなあと思うのか、自分自身への覚書と考察です。


まずみなさんご存知のように、tweetの英語発音を無理矢理カタカナ混じり表記にすると「ツイート」ではなく「tウィーt」となります。そしてアクセントは「ウィー(wee)」のところにあります(私は/w/が半母音であるという考え方を支持しています)。英語はアクセントのついているところを強く読む言語なので、大げさに表記すると"tWEEt"となります。この小文字・大文字混じりの表記をもとに日本語表記を考えると、私は強く読むところを大きくしたくなるので「ツィート」は変で、むしろ「ッイート」のほうが合ってるんじゃない?と思ったわけなのです。でも今改めて表記してみると、「ッ」は撥音便の役目を果たすのでこれもやっぱりちょっと変ですね。
さらに言うと、「ツィート」の「ツィ」だけ抜き出して発音しようとすると"twee"とはまったく別の発音になるような気がするのですが、私だけでしょうか……。


ちなみに、「ツイート」の「ツ」についてですが、英語では日本語の「ツ」の子音である/ts/という音は語頭に出てくる機会があまりありません。"ts"というスペルも語頭では滅多に見かけません。catsのようにうしろに出てくることはあるのですが。英語のネイティヴ・スピーカーが、"tsunami"を「ツナミ」とうまく発音できず、「スナミ〜」と発音したり、「トゥナミ〜」と発音するのはそのためです。逆に日本語には「tw」という音のつながりはありません。基本的に日本語は子音ひとつに対して母音ひとつを組み合わせて「音」を作る言語なので、母音ひとつに対して子音が二つ(正確には子音ひとつと半母音ひとつ)くっついている"tweet"は日本語ではうまく表記する文字がないのです。そのため、"tweet"の日本語表記にあたっては「tw」と発音するときの条件(舌の位置、唇の形など)が一番近く「ツ」という文字が存在する「ts」を代わりに使っているのではないかと私は勝手に考察しました。


おまけ
日本語話者が英語を習得しようとするとき、一番弊害となるのは文字表記の違いだと思います。文法の違いはもとより、かたや音節文字(例えば「か」は/k/という子音と/a/という母音の組み合わせを指す)、かたや音素文字(母音・子音がそれぞれ文字を持っている)と、文字表記の仕方が全く異なるのです。私も大学に来て、音声学をちょこっとかじるまでは大変な思いをしました。
今の現場で英語を教える中で一番大変なのが、発音の定着です。ネイティヴのような発音の定着、ではありません。いろいろなアルファベットの組み合わせを、ひとつのまとまりとして読むその発音の定着がとても難しいのです。とうとう夏休み前に解決法を見つけることはできませんでした。フォニックスも試してみたのですが、まだまだ勉強不足でうまくいきません。
この夏の目標は教材研究をしっかりすること。「英語嫌い」の生徒に少しでも英語に興味を持ってもらえるように…私の指導法研究はまだまだ始まったばかりです。

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