私は雪国の生まれで、湿気のある冬は寒いけれど好き。
でも、湿気のある夏の暑さには耐えられません。
ああ、どうして私は、日本一暑いところに来てしまったのだろう……。
ところで、私の通っている大学院では、7月13日で春学期が終業となりました。
電力不足と県庁からの節電の要請で例年より3週間ほど早い終業です。
しかし私はほとんど趣味で、学部の授業も履修しているのですよ。
学部では一週間の予備期間を設けているので、来週水曜日のテストが終わると、夏休みに入ります。
小学校や中学校の夏休みでさえ、こんなに早く始まった記憶はありません。
なんだか、複雑な気持ちです。
夏休みと言っても、今年度は後半に修士論文の執筆という恐ろしいイベントが待っているので、あまりゆっくりしている場合ではありません。
この暑さに脳がやられないか心配ですが(脳貧血の常習犯なので)、研究も私生活も充実した休みになればと思います。
今回は、最近学んだ面白いことを箇条書きで書きます。
以前のブログでは二つの記事に分かれていたものを、ひとつにしました。
1.超衝撃の事実:「欲しい」は形容詞!!
最近、日本語の文法を勉強しようと思って文法書を読み始めました。
例文量は少ないもののコンパクトに説明してある本で、わりとサクサク読み進めていたら……
「形容詞」の章に、
「…(前略)…「ほしい」、「なつかしい」、「かゆい」、「いやだ」、等は感情・感覚を表す。」(益岡・田窪、2010、『基礎日本語文法 改訂版』、p. 21)
とあって、私は思わず「……え?」とびっくりしてしまいました。
そのわけはこうです。
「ほしい」…が…形容詞…だ…と…??!
今学期履修している文法講義で、
「動詞は全てウ母音で終わる」と習いました。
つまり、冷静に考え、形を見極めれば、「ほしい」が形容詞だなんてすぐにわかります。
形容詞かどうかはわからなくても、少なくとも動詞ではないことくらいはわかります。
「ほしい」は「い」で終わっています。イ母音で終わっています。ウ母音で終わっていません。
では、どうして私はこの本を読んで21ページに到達するまで、ずっと「ほしい」は形容詞ではないと思っていたのでしょうか。
どうやらそれは、英語(とその日本語訳)の影響らしいのです。
つまり、私の中では、「ほしい」="WANT/CRAVE" なのです。
英語のwant、craveの品詞は動詞です。
例えば、「私は新しいコンピュータがほしい」という文を、
本当にシンプルに英文に直すと、誰でもこんなのが出てくると思います。
I want a new computer.
さらに、英和辞典でwantを調べると、「〜がほしい」が一番始めに出てきます。
日本語は私の母語ですから、品詞を気にしなくても言語活動が可能です。
それゆえに、英語の品詞につられて、「ほしい」=動詞になってしまったのでしょう。
それでも、気がついたときはかなり衝撃を受けました。
他にも、英語の品詞で当然のように覚えていたら、実は日本語は違う品詞だった……
なんてものが、けっこうありそうです。
2.「けりをつける」の「けり」は、助動詞の「けり」!?
発見は、先日、大学院の後輩と話をしていたときのことでした。
話の内容はすっかり忘れてしまいましたが、研究室を出る間際にこの「けりをつける」の話になりました。
てっきり、動詞の「蹴り」から来ていて、「蹴り」が意味的に少し派生して「始末する」のような意味になると思っていたので、衝撃でした。
その場でも後輩が確認のために辞書を引いてくれたのですが、私の手持ちの辞書にも「和歌・俳句などは助動詞『けり』で終わるものが多いことから。」(『明鏡国語辞典』)と注があります。
気になるのは、この、名詞としての「けり」の使い方の普及率です。
識字率が今より低かった江戸時代までの日本で、「けりをつける」の「けり」がどの程度、あるいはどの階級まで使われていたのか、とても気になります。文字が読めず、俳句など作ったこともない農民層も「けりをつける/けりがつく」は使ったんだろうか……。
でも、私自身、「けりをつける」の意味はわかっていても「けり」が助動詞由来だなんて知りませんでしたから、「けり」の名詞としての用法は、いつからか慣用句化して、一人歩きをし始めたのでしょう。
もうひとつ面白いなと思うのは、「けり」は表面上の形であって、「けりをつける」という表現には「けり」が本来持つ助動詞としての意味が全く入っていないことです。
英語にもこのような例があった気がするのですが、今は思い出せません。
もし思い出したら追記で書き込みます。
以上、最近学んだことでした。
なんだかもっとたくさんあった気がするんですが、記憶が飛んでしまいました。
近年、「書くこと」を怠って久しいです。
言語活動は口頭でいくらでもできますが、「書くこと」も大切。
「書くこと」によって思考が深まったり、今までわからなかったことがわかったりすることもあるので、できれば怠らないで少しずつ書いておきたい……。
さよ
No comments:
Post a Comment